キーエンスは「2桁増収・営業利益率約50%」、ファナックは減収…FA2強の決算で明暗が分かれたワケPhoto:Bloomberg/gettyimages

2020年に始まったコロナ禍による落ち込みを脱した日本経済。ただ、元通りになったわけではない。デジタル化や脱炭素の潮流が加速し、円安や物価高の影響も続く。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はキーエンス、ファナックなどの「製造用機器・システム」業界4社について解説する。(ダイヤモンド・ライフ編集部 濵口翔太郎)

キーエンスは業績好調も
ファナックは減収

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の製造用機器・システム業界4社。対象期間は2024年2~6月の四半期としている(4社いずれも24年4~6月期)。

 各社の増収率は、以下の通りだった。

・キーエンス
 増収率:11.2%(四半期の売上高2472億円)
・ファナック
 増収率:マイナス3.3%(四半期の売上高1951億円)
・SMC
 増収率:1.9%(四半期の売上高2028億円)
・マキタ
 増収率:5.1%(四半期の売上収益1939億円)

 製造用機器・システム業界4社の四半期増収率は、キーエンス・SMC・マキタが増収となった一方で、ファナックは減収に沈んだ。

 このうち2桁増収を果たしたキーエンスは、国内屈指のFA(ファクトリーオートメーション)関連機器メーカーとして知られる。合理性を徹底的に追求した営業体制を敷いており、利益率が極めて高いことが同社の大きな強みになっている。

 今回分析対象とした24年4~6月期(25年3月期第1四半期)の決算においても、キーエンスの売上高は2472億円だったのに対し、営業利益は1234億円(前年同期比10.9%増)。売上高営業利益率は49.9%と驚異的な水準だった。

 その一方で、キーエンスと双璧をなすFA関連機器メーカー・ファナックは元気がなく、上記の通り増収率で「独り負け」を喫している。その背景には、主力事業であるFA部門やロボット部門の苦戦があるというが、具体的に何が起きていたのか。

 次ページで、各社の増収率の推移と合わせて詳しく解説する。