そんな日本で「パンク好き」として知られる著名人を列記してみよう(以下、すべて敬称略)。脚本家そのほかで活躍の宮藤官九郎、俳優の阿部サダヲ、黒木華、成海璃子、コメディアンの小峠英二、千原せいじ、タレントの千秋、福田萌……などをまず挙げることができる。
 
 映画界や出版界にも「パンク好き」は多い。本職(直接的にパンク・ロックに関わっていた)人も多い。前者は石井岳龍(旧名・石井聰亙)監督、山本政志監督など。後者は作家の町田康(歌手時代は町田町蔵)が筆頭だ。ライターのブレイディみかこはパンク好きが高じて渡英したという。
 
 漫画界は、もっとすごい。パンクを愛する漫画家や、パンク・スタイルが反映された漫画作品は、数えきれないほどある。最近のわかりやすい「パンクっぽい」例は、藤本タツキ『チェンソーマン』あたりだろうか。

「裏原」ファッション関係者は
熱心なパンク・ロック信者ばかり!?

 ここらへん、そもそもは80年代に雑誌『宝島』などが内外のパンク・ロックをコンスタントに紹介していたせいで、日本では裾野がとてつもなく広がったことの反映だ、との見立てもある(漫画以外では、劇団系やコメディアン系の「パンク好き」への影響も、この筋からのものだとの分析だ)。