原宿も強い。いや、原宿のストリート・ファッション界こそが、日本の洋楽パンク・ロックの聖地なのかもしれない。たとえば世界のモード・シーンを結果的にリードしてしまった、いわゆる「裏原」ファッションの関係者は「熱心なパンク・ロック信者ばかり」と言い切ってもいいほどだ。今日の原宿の基礎教養・音楽編は、ビートルズでもストーンズでもなく「まずはパンク」と言っていい(次点がヒップホップだ)。同様の意味で、ニューヨーク発のストリート・ブランド、シュプリーム(Supreme)も、もちろんパンク・ロックなしには成り立たない。だから米日ともに、スケートボード、スノーボードなどエクストリーム・スポーツの界隈で、パンク・ロックが鳴り響かない日はない。

日本人は本当に
パンクが「大好き」

 肝心の音楽界、日本のロック界も、パンク・ロック抜きには一切語れない。往年のスターリン、アナーキーといったど真ん中の大物から、泣く子も黙るハードコア勢まで、また逆に極大の大衆的人気を得たブルーハーツから、忌野清志郎が「商業的にブレイクしたときの髪型」まで……日本人は本当に、パンクが「大好き」だという実例が、果てしなくある。