ライドシェア解禁、労働規制緩和だけで十分か
デジタル化を中心とする長期成長戦略が必要
自民党総裁選では、政治改革や防衛問題と並んで、成長戦略が重要な論点になっている。
経済政策というと、短期的な金融政策や財政政策が論議されることが多いのだが、長期的な観点からの成長戦略も、それと並んで重要な課題だ。これは、技術革新を進め生産性を上昇させるための政策である。
この問題は、重要でもあるにもかかわらず、これまでなおざりにされがちだった。アベノミクスでは、「第3の矢」として必要性が指摘されながら、実際には実効性ある政策は何も行なわれなかった。そして異次元金融緩和という金融政策だけが実行され、日本経済の生産性はむしろ低下した。
岸田政権も、デジタル田園都市構想などの政策を打ち出したが、実効性があるものには至っていない。
成長戦略には、雇用政策などさまざまな問題が含まれるが、現在の日本で特に重要な意味を持つのは、デジタル化の推進だ。
自民党総裁選では、ライドシェアの全面解禁や労働市場の流動化をめぐる議論はあるが、
分散・分権型の情報システムや社会システムを見据えた長期的成長戦略の問題を議論すべきだ。