石破茂・自民党総裁候補がアベノミクスを総括!消費税から金融所得課税、医療費まで重点政策を開陳Photo by Masato Kato

自民党総裁選に立候補した石破茂元幹事長がダイヤモンド編集部の単独インタビューに応じた。石破氏はアベノミクスを総括し、自身が政権を担った際の政策の方向性を明かした。経済政策や税制、社会保障改革といった重点政策について語ってもらった。特集『自民総裁選2024 政策を問う!』の本稿では、石破氏のインタビューをお届けする。(ダイヤモンド編集部副編集長 名古屋和希)

国際競争力の低下などを認識せよ
デフレスパイラルから抜け出せず

――日本経済の現状認識について聞かせてください。

 2023年に名目国内総生産(GDP)が人口3分の2のドイツに抜かれました。1人当たりGDPも韓国や台湾に抜かれるでしょう。日本の国際競争力はかつて世界一だったのに今や30位台に落ちました。まずそれを認識しないといけない。

 なぜ抜かれるのか。GDPに占める輸出の割合はドイツが47%で、日本が18%です。つまり、日本は産業が空洞化してしまった。円安で日本企業は業績を伸ばしましたが、30年の間に企業の配当は5倍ぐらいに増え、内部留保も積み上がっています。一方、設備投資と賃上げにどれだけ回してきたか。私はその差が他国との間に出ているのだと思います。

 GDPを増やすには、過半を占める個人消費を回復させなければなりません。しかし、賃金は上がり始めましたが、物価高で実質賃金はなかなか上がらず、個人消費も伸びにくい。設備投資をしてこなかった帰結として欲しい商品もありません。そうした状況でデフレスパイラルから抜け出せていないのです。

――実質賃金が上がらない中で、物価高対策をどう進めますか。

次ページでは、石破氏がアベノミクス以降の経済政策について総括し、自身が力を入れる政策を明らかにする。争点となっている解雇規制の緩和やマイナ保険証についての見解を示すほか、防衛増税の財源問題についても切り込む。さらに、主要政策に掲げた「医療費の適正化」の中身や「防災省」構想についても解説した。