年収1500万~3000万円も
日本で働く若手中国人が急増する理由
都内のテック企業「GAテクノロジーズ」に2023年に転職し、傘下企業の「神居秒算」執行役員COOに就任したヤンロン氏と私は、10年以上のつき合いだ。ヤン氏は1989年、福建省生まれ。09年に来日して日本の大学で学んだ。卒業後はヤフー・ジャパン(現LINEヤフー)に入社。「最初からやりたかった」という広告営業を担当した。
転職し、KADOKAWAグローバル・マーケティングの常務を経て、GAテクノロジーズにヘッドハンティングされた。奇しくも中国の政治リスクなどの要因から、日本に「潤」(ルン=移住)する中国人が増え始め、中国系の不動産業界が注目を浴びていた時期。ヤン氏は「新しいことに挑戦したい」と業界に飛び込んだ。
日本の大学在学中からウェイボーを始め、中国のSNSの黎明期に日本の情報を中国人にいち早く発信して注目を集めた。日中のインターネット、メディア、広告業界に詳しく、その明るい性格から顔が広いヤン氏には、同世代(30代)を中心に異業種で働く在日中国人の友人が大勢いる。
ヤン氏によれば、ここ数年、東京を中心に、欧米系、中国系、日本の大手企業で働く20~30代の中国人が急速に増え、年収も約1500万~3000万円に上るという。ホームパーティーなどで彼らと話す機会があるヤン氏は、「彼らのような人材が活躍できるようになった日本は、だいぶ変わってきたな、と感じます。自分もよい刺激をもらって、もっと頑張ろうというファイトが沸いてきます」と話す。
ヤン氏の考えでは、日本の企業で働く中国人が増えた理由は3つあるそうだ。
1つ目は日本企業がグローバル化し、多様な人材が必要になったこと、2つ目は彼らが優秀で、採用に足る人材であること、3つ目は、若い人材を登用したいという企業側のニーズと合致していることだ。