男児死亡事件で言葉を濁す中国
日本はまた適当にあしらわれるのか?
9月18日、中国の深セン市で日本人の男児が殺害されました。この事件は、緊張気味が続く日中間の感情に「さざ波」を起こしています。 24日、国連総会で両国の外相が会談を持ちましたが、日本の上川陽子外相の詳細な情報公開の要求に対して、王毅外相は言葉を濁すばかりでした。
私は今回も、日本政府がいつものように適当に中国にあしらわれて終わるのではないかと心配しています。しかし、この事件を「さざ波」で終わらせてはならず、日本政府は断固たる態度を示すべきではないかと思います。中国駐在が長い外交官などに取材してみました。
彼らが共通して語るのは、この事件の背景に中国政府の世界情勢に対する間違った認識があるということです。中国政府はこの事件で、非常に困った立場に置かれていると彼らは言います。
(1)被害者は10歳の児童であり、(2)殺害した中国人は44歳の分別ある大人です。(3)しかも、殺害された児童は父親が日本人、母親が中国人の日本国籍です。10歳の子どもに非がある可能性はゼロで、44歳の中国人に非があることは明らですが、事件発生後10日もたっているのに中国政府が「偶発的な事件である」としか発表できないのは、児童やその両親に対する個人的な恨みが犯人の動機ではないと言っているのと同じです。
個人的な恨みならすぐに発表し、中国政府として哀悼の意を表すればいいわけで、それができないのは、殺害犯が反日ヘイト的な理由で犯行を行ったことを自白しているからではないかと推測されます。
以下は外務省幹部の話です。
「もし、反日を理由に犯罪を行ったとすると、中国は最近、国内に対しては反日を煽動しているとしか思えない言動が続き、事件も多々起こっていただけに、今さら『反日的な行動』に対して厳しいことは言えません。かといって、『反日』を理由に44歳の大人が児童相手にテロを仕組んだと対外的に言えば、国際世論は中国に対して極めて厳しい反応を示すことになります」
しかし、上川外務大臣は「すでに14日に中国外務省に対し、日本人学校の安全対策を申し入れていたにもかかわらず、今回の事件が起きてしまったことを、大変残念に思っている」と事件直後に語っていました。言葉だけの抗議では中国に「偶発的事件」という言い分で逃げ切られてしまう可能性は十分にあります。