今後はKINTONラーメンで働きながら、永住権を取得することを考えている。永住権が取れれば、「日本で暮らすよりも将来の選択肢が広がる」からだ。ただ、当局の審査を突破するには、高い英語力を身につけたり、カナダでの就労経験を積んだりすることが必要になる。そのレベルは高く、高卒の学歴も大きなハンディキャップになるという。合格できる確信はまだない。2~3年はかかることを覚悟している。
「30歳ぐらいで取れたらいいが、実際は厳しいかもしれない」
日本食飲食店で働きながら
英語力を上げる若者たち
2009年に創業したKINTONラーメンの運営会社KINKA FAMILY(キンカファミリー)は、カナダ、アメリカを中心に、日本食店を幅広く手がけており、寿司店や居酒屋、焼き鳥店、カフェも展開する。特にラーメン店は出店攻勢を強めている。副社長の高根大樹さん(44歳)は「かつて日本食のイメージは、寿司、天ぷらといった高級料理のイメージが強かったですが、ラーメンのようなカジュアルな食事が広がりはじめています」と語る。
一方で、日本食店の日本人がカナダに渡るための足がかりとしての役割も果たしてきた。カナダで仕事を探す日本人にとっては、飲食店は特別なスキルがなくても働きやすい職場の一つだ。ワーホリなどで訪れた若者がアルバイトとして働くケースも多いほか、会社からジョブオファーを出してもらい、就労ビザで働く場合もある。就労ビザを受ければ2年間は働けるため、この間に英語力などを上げて、永住権取得に向けた「ポイント」をためるスタッフも多いという。これまでに50人ほどにオファーを出して雇ってきたという。
働き手の年収は店長クラスで年収700万円程度になるため、日本で働いていたときよりも年収が高くなる人も多い。