キャリアの限界を感じ
新天地へと向かう
森井さんは高校卒業後、地元の愛媛県の製紙工場で働いた。工場は3交代制で、4人1班でラインを回した。班はリーダー役のベテラン社員、中堅2人と若手1人でつくられる。先輩社員と日々一緒に働くなかで、キャリアの限界がなんとなく想像できてしまった。自分の将来に希望を感じられず、退職を決めた。
現状を変えようと選んだのが、ワーホリだった。知人に勧められるがままに、2018年にカナダに渡航した。
だが、海外渡航ははじめて。英語力は「『OK』や『YES』、『NO』が言えるくらい」だった。「行ったらどうにかなるやろ」と考えていたが、カナダの空港に到着すると、英語が思うように通じず、不安が広がった。
語学学校に通うなかで、生活費として収入が必要となり、アルバイトとして働きはじめたのがたまたま昼食で訪れたKINTONラーメンだった。「日本食の店なら働きやすいだろう」と考えていたが、甘くはなかった。客の注文も思うように聞き取れず、カナダ人のスタッフらとの会話ももちろん英語。不慣れな英語での会話にストレスや疲れがたまり、「日本に帰りたい」と思うこともあった。
「カナダでは客としてお店でオーダーするときにも緊張しちゃって、日本の居酒屋で注文するような感覚ではまだできませんね」