なお、渦巻型論理を外国人にも分かるように説明すると、次のステップとなる。

ステップ1:「先約がある」「仕事が忙しい」といった自分の状況を伝える。ためらいがちに言いよどんだり語尾を伸ばしたりする。
ステップ2:一瞬のポーズを入れる。誘いに応じられないことを相手に察してもらう。
ステップ3:謝ることで、察してもらったことへの感謝を示す。

 英語の世界では、はっきりと断ることが良しとされている。中国語のコミュニ―ケーションでも同様らしい。日本人独特の渦巻型論理の答え方では、誘いに応じるか否かがはっきりせず困惑してしまう。

ノーを明言しないと「敬意」に欠ける!

 アメリカでは、自分の本心を隠さず、誤解を招かないように答えることこそが相手を尊重する誠実な態度であり、そこから信頼関係が生まれると考えられている。だから日本人の曖昧な返事は、「率直さに欠ける」「何か隠しているのではないか」と捉えられ、「ずる賢い」「不誠実」といった印象を与えるリスクさえある。

 アメリカ人にとって「ノー」は、会話のキャッチボールの一つであり、たとえ強めの「ノー」が返ってきても、あまり痛くない様子だ。「ノー」を返されたら相手にまた新しい球を投げ返せばいい、といった感覚なのだろう。

 自己主張の強さが目立ちがちな英語のコミュニケーションは、確かに日本語よりはストレートな印象があるかも知れないが、とはいえ「気遣い」は存在する。非常に親しい間柄を除けば、英語でも「ノー」を言うのに相手の気分を害さないように配慮する(なお、アメリカにも本心を見せない「建前」というものも存在する)。そうした事情を知らない日本人が、あまりにぶっきら棒に、いきなり「No, I can’t!」などと答えると、ストレート過ぎて相手の気分を害することもある。