国内最高峰の大学群である「旧七帝大」。トップ・オブ・トップのエリート以外は受験しても到底受からない、ましてや偏差値50台では受けるだけ無駄という先入観のまま、今の受験生が旧帝大受験を諦めるのは実にもったいない。ベールに包まれたあるデータが、先入観をものの見事に覆しているからだ。特集『大学格差』(全20回予定)の#1では、入試結果に基づく「本当の合格率」を大公開する。また、難関国立10大学について、ベネッセコーポレーションの協力で1982年以降43年間の偏差値の推移をまとめた。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)
偏差値50台前半の受験者
ある旧帝大の経済学部に2割合格
「旧七帝大」と呼ばれる七つの旧帝国大学(東京大学、京都大学、北海道大学、東北大学、名古屋大学、大阪大学、九州大学)は国内最高峰の大学群であり、長年にわたって学力最優秀層にとって受験の本命となってきた。
故にトップ・オブ・トップのエリート以外は到底受からない、ましてや偏差値50台では受けるだけ無駄、それが一般的な世間の認識だろう。実際、それが真実だった、かつては。しかし、この先入観のまま、今の受験生が旧帝大受験を諦めるのは、実にもったいない。ベールに包まれたあるデータが、先入観をものの見事に覆しているからだ。
「進研模試」を実施しているベネッセコーポレーションでは、入試結果が出た後に追跡調査して各大学における合格者と不合格者の模試偏差値を集計、偏差値帯ごとに実際の合格率を算出している。
この入試結果に基づく「本当の合格率」は、高校の進路指導担当者など一部の関係者に限って共有されてきた。生々しく、デリケートなデータである。それでも受験生本人も本当の合格率を知ることは、プラスの影響が多いはずだ。先入観に惑わされず、諦めなければ想定以上の結果を出し得るということに気付ける。
というのも、ある旧帝大の経済学部には、偏差値50台前半の受験者のうち2割、偏差値50台後半の受験者のうち3割が合格しているのだ。
一般に世に出回る進研模試の偏差値(合格目標偏差値)は、合格可能性60以上80%未満のB判定値である。近年の大学入試は総じて合格者を出し得る成績層が下に広がっており、B判定値に達しない層の合格率が上がっている。
試験本番まで追い込んで受験学力を大きく伸ばした受験生は、模試偏差値を上回る結果を出しやすい。彼らは、年内入試で早々に受験活動を切り上げる受験生が増えて一般選抜に競争相手が減った恩恵も受け、合格を引き寄せている。
次ページでは、学力最優秀層以外も諦めずにチャレンジする価値のある旧帝大の一つに焦点を当て、2022~24年度の各年度入試結果に基づく工学部と経済学部それぞれの偏差値帯別合格率を大公開する。また、旧七帝大に東京科学大学(東京工業大学、東京医科歯科大学が10月に統合)、一橋大学、神戸大学を加えた難関国立10大学について、43年間の偏差値推移早見表を掲載する。