いつでも撤退できるのは、中学受験のいいところ――。残念ながら、膨大なお金と時間を費やすことが、必ずしも子どものためになるとは限らない。中学受験の向き・不向きの判断はどうすればいいのか。SAPIXの広野雅明先生に「中学受験の素朴な疑問」をぶつける連載。第12回(最終回)は「中学受験すべき親子」と「しないほうがいい親子」の違いを取り上げる。(聞き手・文/教育アドバイザー 鳥居りんこ)
中学受験をする家庭は
圧倒的少数派という大前提
――今まで、11回にわたってサピックスが考える中学受験をお聞きしてきましたが、最終回となる今回は「そもそも論」になりますが、「中学受験はしたほうがいいのか?」というテーマでお伺いします。
当然ながら、中学受験をしたほうがいいお子様もいれば、中学受験ではないタイミングで受験したほうがいいお子様もいます。
また中学受験をしたいと考えても経済的に難しいご家庭も多いです。中学受験率は一都三県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)全体でも2割弱です。都心部の一番高いエリアでもせいぜい5割程度ですから、首都圏全体で言うなら、8割以上のご家庭は中学受験を選択していません。
つまり、大前提として中学受験をする子のほうが少数派ということです。その中でしたほうがいい子、しなくてもいい子というのは、ご家庭の教育方針が非常に大きいと思います。
やはり、中高一貫の6年間、あるいは大学附属の場合は大学までの10年間、その学びに強い意味を感じるのか、感じないのか。感じたとしても、経済的な部分で可能かどうかも重要なポイントです。様々なご家庭があるので、その背景も教育方針も千差万別です。
保護者のお考えにもよりますが、女子の場合、高校受験で選択できる私立の難関女子校はほとんどありません。選択肢が少なくなるのであれば、中学受験をしておこうという考え方もあります。