「営業は飲み会を断ってはいけない」
営業たるもの、必ず飲み会に参加しなければならない――そんな風潮に「正直、イヤだ」と感じる人も多いのではないだろうか。しかし、「営業版・虎の巻」の『Sales is』を執筆したセレブリックス・今井晶也氏は、「実は、”営業=ビジネス会食が必須”と考えることは非常に危険」だと語る。営業で「ただ単にビジネス会食をしていても、成果には結びつかない」のは、一体なぜなのか? 『ビジネス会食完全攻略マニュアル』で「会食を制する」ノウハウを余すところなく記したyuuu氏との対談で、その「本当の理由」をお送りする。(構成=ダイヤモンド社・榛村光哲/執筆=菱沼美咲)
「すべての営業に会食は必須ではない」理由
――会食ってそもそも、営業に必須なのでしょうか?
今井晶也(以下、今井) 実は、「必須ではない」が僕の考えです。ただ、使えたほうがいい人たちがいるのは間違いありません。
これはもっと厳密に言うと、「営業の種類」によって必要性が変わるということです。セレブリックスと営業総合研究所という機関で営業の仕事を大きく分けたものがこの資料です。
BtoBかBtoCかでまず大きく分かれるのですが、BtoBのなかでも直接ユーザーにモノを売る営業か、パートナーを活用して商品を届ける営業かでも全然考え方が違います。
図の右側の直販の中でも、いわゆる【①アカウント営業】と呼ばれる、誰に売るかは決まっているが何を売るかは自由な営業と、【②プロダクト営業】と呼ばれる、何を売るかは決まっているが誰に売るかは自由という営業があります。もし営業をされている人がいたら、自分はどちらに該当するか、考えてみてください。
「営業なら会食しろ」とは言い切れない当然の理由
例えば、yuuuさんが昔いらっしゃった大手広告代理店には、「得意先」があったと思うんですよね。これは【①アカウント営業】です。だから、その得意先に対してCMを売ることもできるし、スポンサーになりましょうっていう提案をすることもできるし、売るものが自由ですよね。でも、【②プロダクト営業】の場合は、基本的に売るものが決まっていて、それをどこに売っていくのかを考えるわけです。つまり、考え方がまったく違うわけです。
このように、営業という職業を一括りにするのは、陸上の競技を一括りにすることと似ています。だから、「営業には会食が必要ですか」という質問は、「陸上にダッシュ力って必要ですか」という質問と一緒で、それは50m走なのかやり投げなのかによって必要度は変わってくるという話だと思っています。