果蔬図巻伊藤若冲『果蔬図巻』の部分拡大図。さまざまな野菜が描かれている 画像提供:福田美術館

今年の京都は観測史上初めて真夏日が100日を数えました。10月に入ってからは、芸術の秋をテーマとした街巡りにちょうどよい陽気となりました。嵐山で世界初公開の作品を見てから、生粋の京都人である伊藤若冲の足跡を訪れましょう。(らくたび、ダイヤモンド・ライフ編集部)

生粋の京都人、伊藤若冲

 江戸中期に活躍した“奇想の絵師”伊藤若冲(じゃくちゅう)は、生まれも育ちも、85歳で往生したのも京都という生粋の京都人です。2016年に生誕300年を迎えてから、毎年のように展覧会が開かれては好評を博しています。東京では、建て替えが決まった出光美術館で、現在の施設では最後となる展覧会が開催中で、『鳥獣花木図屏風』が公開されています。

 21年に代表作『動植綵絵(どうしょくさいえ)』が国宝に指定されました。抜群の知名度と人気を誇る江戸時代を代表するアーティストといっても過言ではないかもしれません。今回は、そんな伊藤若冲をテーマに、秋の京都さんぽをご案内します。

 嵐山を象徴する渡月橋の北詰めから歩いてすぐの大堰川沿いにある福田美術館(右京区)。京都に生まれ育った実業家の個人コレクションを展示するため19年に開館しました。若冲、円山応挙、与謝蕪村らによる近世日本画、とりわけ京都にゆかりのある作品を多く所蔵し、今でも江戸時代から現代に至るまでの作品を収集し続けています。

 開館5周年を記念して、10月12日から約3カ月にわたり、「京都の嵐山に舞い降りた奇跡!!伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?!」展、略称「若冲激レア展」が開かれます。

 その目玉となる作品が、晩年に描かれた『果蔬図巻(かそずかん)』。長きにわたり個人が所蔵していた欧州から、昨年同館のコレクションに加わり、話題を呼びました。今回、世界初のお披露目となりますので、お見逃しなく!

果蔬図巻『果蔬図巻』の全体図。向かって左側に、大典禅師(梅荘顕常)による跋文が添えられている 画像提供:福田美術館
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