東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドと、サンリオピューロランドを手掛けるサンリオの損益計算書を比べてみましょう。2社の損益計算書に表れた差をひもとくと、ビジネスモデルの違いが見えてきます。(大手町のランダムウォーカー)
【会計クイズ】
オリエンタルランドはどちらでしょう?
早速ですが、以下のクイズに挑戦してみましょう。
オリエンタルランドは、東京ディズニーランドで有名な会社です。2つのテーマパークと複数のブランドホテルの運営を主力事業としています。
一方、サンリオは、サンリオピューロランドでおなじみの会社です。テーマパークだけでなくギフト商品の企画・販売やキャラクタービジネスなども行っています。
どちらもテーマパークを運営している会社ですが、損益計算書の形が異なります。
損益計算書は「企業の成績表」
どれくらい儲かったかが分かる
損益計算書とは
損益計算書とは、企業の1年間の活動の中で、いくら売り上げて、いくら費用がかかったのか、そしてその結果、いくら利益が出たのかを記録したものをいいます。簡単に言うと、どれくらい儲かったかが一目で分かる企業の成績表です。
損益計算書は、収益・費用・利益(損失)の3つの項目で構成されています。
(1)収益…企業が1年間に売り上げた金額
(2)費用…従業員の給料や、広告費用など、企業が1年間でかけた費用
(3)利益や損失…収益と費用の差で計算する。この数字を見ることで、その企業が儲かっているかどうかが分かる
押さえておくべき収益と費用の科目
収益や費用の科目は複数あります。ここからは、収益・費用の科目を少しだけ細かく見ていきましょう。
(1)売上高と売上原価
売上高は商品を販売した対価のことで、売上原価は、販売した商品の原価を表しています。
例えば、リンゴを仕入れて売る会社の場合、リンゴを1個売ったら、その販売代金が売上高になるのに対して、販売したリンゴを仕入れるために要した金額が売上原価となります。
(2)販売費及び一般管理費
販管費及び一般管理費(以下、販管費)とは、商品を販売するために間接的に発生した費用を意味する項目です。
例えば、リンゴを売る会社の場合、リンゴを販売するためにかけた広告宣伝費や、商品を販売するための店舗の家賃、店舗で販売するスタッフの給料などが販管費に分類されます。
(3)営業外損益項目
営業外損益項目とは、本業の営業活動以外で毎期継続的に発生するような項目が該当します。
具体例として、副業の株式投資で得られる収益や費用などが当てはまります。本業でリンゴを売る会社が副業の株式投資で収益を出した場合、この収益は本業の売り上げではないため、営業外収益の項目に分類されます。
(4)特別損益項目
特別損益項目とは、頻繁には発生しない特別な事象によって発生した科目が該当します。
例えば、とある企業の工場で火事が発生したとします。火事は毎期発生するわけではなく特別かつ臨時の事象です。したがって、火事に関する損失は、特別損失の項目に分類されます。そのほか、事業売却などに関する損益も、通常は特別損益項目に分類されます。
(5)税金項目
最後に企業の稼いだ利益に応じて課された税金等が除かれて、企業の手元に利益が残るという構造です。
損益計算書の項目を図解で表すと、下図のようになります。図解を見ると複雑に見えるかもしれませんが、やっていることは収益と費用を比べて、いくら儲かったかを表示しているだけです。
では、以上を踏まえて冒頭のクイズにチャレンジしてみましょう。
・オリエンタルランドは、テーマパークとホテル事業がメインであるのに対して、サンリオはテーマパークだけでなくギフト商品の企画・販売やキャラクタービジネスなども行っています。
・図左側の選択肢1は売上原価の割合が多く、右側の選択肢2は販管費の割合が多いのが特徴的です。