決算書で読み解く! ニュースの裏側 2023夏#5Photo:YOSHIKAZU TSUNO/gettyimages

開業40周年の東京ディズニーリゾート。その歴史は、「値上げの歴史」でもある。強気の値上げを繰り返しながらも客を増やす極意とは。特集『決算書で読み解く! ニュースの裏側 2023夏』(全27回)の#5では、東京ディズニーが今後も値上げに見合う楽しみを提供できるのか、財務諸表のある数字に着目し徹底検証する。(ダイヤモンド編集部 柳澤里佳)

「週刊ダイヤモンド」2023年6月24日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

東京ディズニーチケット値上げ
40年で3900円→9400円に!

 東京ディズニーリゾートが開業40周年を迎えた。その歴史をひもとくと、「値上げの歴史」も見えてくる。

 1983年の東京ディズニーランド開業時は、入園チケットは3900円だった。以降、何度も値上げを繰り返し、今や最高9400円だ。

 一般的に商品やサービスは、値上げすると客離れしがちだ。しかし、東京ディズニーの入園者数は右肩上がり。値上げしても客離れどころか、むしろ増え続けている。

 それ故、パークを経営するオリエンタルランドの業績は好調に推移してきた。コロナ禍で4カ月間の休園を余儀なくされた2021年3月期は大赤字に陥ったものの、23年3月期に早くも回復。営業利益率は23.0%で、過去最高の売上高と利益率を達成した19年3月期の同24.6%に迫る勢いだ。

 今後も値上げは確実だ。21年からは時期に応じてチケット料金が変わる変動価格制を導入し、現在は7900~9400円の4段階。「今年は高価格帯の日数を増やす」と同社。さらに来年にも価格帯を引き上げる可能性もある。

 他にも例えば、待ち時間が長いアトラクションに無料で優先搭乗できる「ファストパス」の廃止を決定。有料の「プレミアアクセス」を導入して適用も拡大している。

 では、「値上げに見合うだけの楽しさ」を東京ディズニーはどのように提供してくれるのだろうか。実は、財務諸表のある数字を見れば、今後、ディズニーがどれくらいの規模のアトラクション導入を予定しているのかが判明する。と同時に、それは近い将来の値上げも確実だと言い切れる根拠にもなる。

 次ページでは、その具体的な見方をわかりやすいグラフで詳しく解説する。ディズニーパーク好きもそうでない人も、必見だ。