「納得」も「共感」も得られていない
石破内閣の多難な船出
石破内閣の顔ぶれがほぼ固まった9月29日、自民党所属の衆議院議員から聞こえてきたのは以下のような言葉である。
「高市さんを支持した人たちが完全にパージされている」(自民党総裁選挙で高市早苗氏を支持した衆議院議員)
「かつて安倍元首相を『国賊』呼ばわりした村上誠一郎さんが総務相? 我々(旧安倍派)を敵に回すつもりか?」(旧安倍派衆議院議員)
筆者は個人的に、石破茂(67)という政治家について、裏表がない「いい人」だと思っている。もっとも、日々、永田町で、権力をいかにして手に入れ、それをどう行使するかに腐心している政治家に「いい人」など滅多に存在しないのだが、そんな中でも石破氏は稀有な存在だと感じてきた。
事実、在京ラジオ局時代、石破氏に出演依頼をして断られたことがない。どうにか都合をつけて、こちらの依頼に応じようとする人だ。
職場の打ち合わせスペースや喫煙室で話す政策論は熱を帯び、戦闘機や空母のプラモデル作りの話やキャンディーズに関する話を嬉々として語る姿は、テレビで見る石破氏と全く変わらない。
それだけに、5度目の挑戦でやっと手に入れた首相の椅子が、発足当初から「長続きしないのでは?」と危ぶまれている状況を極めて残念に思うのである。