私の家も同様で、好きな番組を見られるときも、そうでないときもありました。でも、結果的に関心がないものを見て、自然と知識の幅が広がっていきました。
しかし、スマホのユーチューブでは、自分の好きなものが見られます。好きなものだけ何度でも繰り返し見ることができるし、関連するものが次々と紹介されるから、なおさら「好き」を極められます。
それは楽しいことではあるけれど、間違いなく世界を狭めてしまっているのです。
書店に本を買いに行っていた時代は、お目当ての本を探すのに書店をうろうろしなければなりませんでした。時間はかかったけれど、それによって目当てのもの以外にも「こんな本があるんだ」といろいろ目にすることができました。
今はアマゾンで簡単に目的の本に辿り着くので、そうした余計な情報は入ってきません。
富永雄輔 著
ユーチューブもアマゾンも、人類の進化の賜です。便利で楽しいですし、利用しているときは「使いこなしている」気分でいる人が多いのではないかと思います。
しかし、配信サイトからの「おすすめ」はありがたい一方で、自分の世界をどんどん狭くしていることに気づいてください。狭い世界に追いやられ、好きなものだけ目の前にぶら下げられて喜んでいるのですから、まんまと「使われて」いるというのが正しい解釈です。
大事なのはAIを使いこなせる子どもに育てることです。デジタルに偏りすぎず、ときにはAIが不得意なアナログな世界に、子どもを置いてあげましょう。デジタルしか見ていなかったときに比べて、ぐんと伸びる可能性があると思います。