「尊敬しています」という言葉は
タイミングを誤ると信頼を失う

 メディアの世界には、博識で才能あふれる人がたくさんいます。渋谷のギャルだった私は、そういう人たちに対する尊敬の念を抱きやすいので、記者になった頃は会う人会う人に刺激を受けていました。

 緊張もするけれどワクワクする出会いも多く、ギャルのノリで失礼なことを言ってしまったこともあります。それでもまだ若かったせいか大抵は笑って許してもらえましたが、ある上司に諭されてドキッとしたことがあります。

 その上司は業界で有名だったこともあり、会って間もない頃に軽いノリで「尊敬しています!」と言ってしまったのです。するとその上司から、「尊敬されるほど、キミ、僕のこと知っているの?」と言われて、確かにそうだなと。軽はずみでそんなおべんちゃらを言うってどうなの?というニュアンスだったので、心から反省しました。

 以来、「尊敬しています」と伝えたくなっても、そのタイミングにはものすごく気をつけています。とってつけたように聞こえる褒め言葉は1歩間違えると、信頼を失うほど軽薄な印象を与えてしまうのです。