2009年、増加の傾向が見られていた誤嚥性肺炎の死者数を前にして、厚生労働省は重い腰を上げ、正式に誤嚥性肺炎を減らす対策に乗り出しました。その流れのなかで、歯科衛生士事務所の代表を務めていた私のところにも、高齢者施設での口腔ケア指導という仕事が回ってきたんです。

 指導を始める前に、まずは施設の実態を知っておこうと見学に行ったところ、すぐにある異変に気が付きました。

百寿者「きんさん、ぎんさん」の舌は
赤ちゃんと同じキレイな肌色

「なんだこの臭いは」

 施設に足を踏み入れた途端、悪臭が鼻をつき、気分が悪くなって5分と室内にいられないほどでした。

 入居者は高齢者ですから、オムツの悪臭かもしれないとも思いましたが、どうも違うような気がする。ひょっとしたら、これは口臭ではないか。そう思って何人かの入居者の口の中を見せてもらったら、歯はそれほど汚くありませんでした。一方で、とにかく舌が汚れていた。