「キレイな舌」というと、ピンク色を想像するかもしれませんが、生まれたばかりの赤ちゃんの舌は肌色をしています。実際、適切な口腔ケアを行い、長生きされた高齢者、例えばあの有名な「きんさん、ぎんさん」の口腔内の写真を見たことがあるのですが、やはりキレイな肌色をしていました。
ところが、見学で訪れた施設の高齢者の舌は「舌苔」が生えて白くなっていたり、茶色かったり、黒かったりしました。そうした汚い舌を放置しておくと、最終的には舌の奥に黒い毛が生えたような状態になることもあります。
日本人は世界一とも言えるほど清潔好きで、丁寧に歯みがきをしている人は多い。実際、自宅に限らず、職場でも昼食後に歯みがきをしている人を見る機会は少なくないのではないでしょうか。しかし、同じ口の中でも舌をキレイにしている人はそれほど多くありません。口腔ケアの“盲点”だと感じました。
そもそも、歯が汚いせいで誤嚥性肺炎になるのであれば、歯が抜けてなくなった人もいる高齢者が誤嚥性肺炎に多く罹ることは説明がつきません。やはり誤嚥性肺炎の予防のポイントは舌にあるのではないか。誤嚥性肺炎の元となる歯周病菌は、歯ではなく舌のほうに溜まっているのではないか――。