定年前後の決断で、人生の手取りは2000万円以上変わる! マネージャーナリストでもある税理士の板倉京氏が著し、「わかりやすい」「本当に得をした!」と大人気になった書籍が、2024年の制度改正に合わせ改訂&パワーアップ!「知らないと大損する!定年前後のお金の正解 改訂版」として発売されました。本連載では、本書から抜粋して、定年前後に陥りがちな「落とし穴」や知っているだけでトクするポイントを紹介していきます。
「節税効果」と「運用益」でダブルにおトク!
「年金を少しでも増やしたい」と考えているならば、おすすめなのがiDeCo(個人型確定拠出年金)です。iDeCoは、自分で作る私的年金です。公的年金は、保険料を渡して国に運用を任せていますが、その運用を自分で行うのがiDeCoです。
iDeCoは、はっきり言って公的年金よりもよい仕組みだと思います。
公的年金は、国の一存で制度がコロコロ変わり、もらえる金額もよくわかりません。
また、早死にすると払った保険料相当分の年金さえ受け取れない可能性もあります。
それに対して、iDeCoは、自分の口座で運用をしますから、ネットなどで常に今の資産状況を把握することもできますし、万が一受け取る前に死んでしまったとしても、口座の中にある財産はすべて遺族の方が受け取れます。
保険料は、公的年金と同様全額所得控除できますし、運用益や配当に税金もかかりません。
国の年金制度なんて、あてにできないと思っている人にもiDeCoはおすすめです。
私も、10年ほど前からiDeCoで積み立てをしています。毎月2万5000円ほどを積み立てて、積み立てた金額のトータルが300万円程なのに対して、今の資産額は500万円超です。
これだけ、増やすことができたのは、iDeCoが「ドルコスト平均法」で資産を運用しているからです。NISAのつみたて投資枠(p51で紹介)とよく似ていますが、違いは、iDeCoなら掛金が所得控除できるという点です。
私の場合、毎年30万円ほど積み立てたiDeCoの掛金が全額所得控除され、年間9万円程度の節税ができました。節税額はトータルで90万円以上です。これだけの節税効果があれば、万が一運用がうまくいかなくても怖くないとも言えます。
iDeCoは利益や配当に税金がかかりません。通常は、資産運用で利益や配当が出ると、そこに20%程度の税金がかかります。200万円の利益を確定すれば、40万円程度が税金ですが、iDeCoなら儲けた分も含めてすべて、自分のものにすることができます。
iDeCoには制約も
おトクなiDeCoですが、加入年齢・掛金・受け取り年齢に制約があります。
①加入年齢は65歳未満まで
iDeCoで積み立てができるのは65歳になるまでです。ただし、60歳以上65歳未満の方はサラリーマンもしくは国民年金に任意加入している人に限られます。そして、すでにiDeCoや公的年金を繰り上げ受給している人は加入することはできませんので注意が必要です。
50代の方でも、「今さら遅いだろう」とあきらめないで、是非、iDeCoを活用してもらいたいと思います。
②掛金
「そんなにメリットたくさんなら、iDeCoでバンバン積み立てをしたい」ところですが、iDeCoにかけられる金額は、サラリーマンで月額5000~2万3000円の間まで、自営業者は、月額5000~6万8000円の間までです。
③受け取り年齢
iDeCoは、早くても60歳になるまで、受け取ることができませんし、かけている年数によっては受け取れる年齢が決められています。若い人には、この点が好まれないようですが、もともと私的年金づくりのための制度ですから、仕方ありません。
「ドルコスト平均法」で積み立てるiDeCoは若いうちから始めるほど資産を増やすことができます。
受け取れる年齢をすぎたあとは、75歳になるまでの間で受け取り時期を選べます。ですから、運用している商品の値が下がっている時に無理して売却する必要はありません。値動きをみて、良いタイミングを選んで受け取ることができます。
iDeCoは、一括で受け取ることも年金として受け取ることもできます。一括で受け取れば、退職所得、年金で受け取れば雑所得です。これは、p30で説明した企業型の確定拠出型年金と同じ仕組みです。節税のことも考えて受け取り方を決めましょう。
まずはiDeCoの口座を作ることから
iDeCoの口座は銀行・証券・保険会社などで作れます。手数料は金融機関ごとに違うので、手数料の安いところを選びましょう。口座ができたら、運用する商品を決めます。運用商品は、リスクの高いものから、元本保証の定期預金タイプまで様々あって悩みますが、いくつかの商品に分けてリスク分散することもできます。
運用中も手数料がかかりますので、運用商品も手数料の安いものを選ぶといいでしょう。
*本記事は「知らないと大損する!定年前後のお金の正解 改訂版」から、抜粋・編集したものです。情報は本書の発売時のものです。