人前で指摘することはNG
守るべき鉄則は「1対1」

 日常のコミュニケーションのなかでネガティブなことを伝えるときに気をつけるのは、「部下と1対1で話す」ことです。

 上司の中には、「みんなの前で指摘すると、他社員の指導にもつながるので一罰百戒の効果がある」「恥をかいた部下は、一念発起するはず」と考える人もいますが、基本的に逆効果になります。

 みんなの前で指摘された部下は、「恥をかかされた」と怒りや不安を感じる人が多く、上司の言っていることが正論だったとしても、理論的に受け止めるより感情的に納得がいかない状態になってしまいます。

 周囲のメンバーも「自分もミスをすると、部署メンバーの面前で指摘される」と考えて萎縮してしまったり、「シャーデンフロイデ(人の不幸は蜜の味)」で暗い快感を覚えたりすることで組織の風土は悪化します。

 指摘するときは、会議などが終わった後に「ちょっといいですか?」と残ってもらう、オンラインの場合はミーティングを終わらせて「この後5分だけいいですか?」とメッセージを送るなど、場を区切るのが鉄則です。

 部下と良好な関係を築けていれば、「今日の面談はいつもと違うな」という雰囲気を伝えるだけで、上司の言葉に真剣に耳を傾けてくれるはずです。