他の人が“普通”にできていることが自分にはできない。

 その事実が私の自尊心をガリガリと削りとる。

「生活をする」ということひとつとっても、私には難しいことだらけだった。「適当に」とか、「手を抜く」ということがうまく理解できなかったのだ。

 そう言えば、十代後半のある日、突然、腕や指がかゆくなって半円状の発疹が出たことがあった。その発疹は徐々に顔まで広がり、瞼や頬もボコボコと腫れ出し、なんとも不細工なさまに泣き出しそうになったものだ。幸運なことにその腫れと痒みは数時間で治まり、ことなきを得た。

 だが、翌日もまた痒くなったため、近所の内科病院へ行った。しかし、顕著な症状がなくなってしまったので、原因はわからないと申し訳なさそうに言われた。

ひどい貧血で
「氷食症」にも

「昨日すぐ来てくれれば……」とのひとことに、「あんな酷い顔で外に出られるわけないでしょうが!」という言葉をキュッと飲み込んだ。ただ、「おそらくはじん麻疹であろう」という説明があり、「ストレスから来る場合も多く、はっきりとした理由が判明しないこともある」と言われた。

 そして、血液検査を受け、結果は1週間後に聞きにくるということで帰された。