同僚社員の突然のメンタル不調が
挫折と成長のきっかけになった

 その後、私は、事業全体をマネジメントする仕事に就きました。市場のニーズを発見し、ゼロから事業を立ち上げて、拡大させていく仕事がこれまでになくエキサイティングで、更に仕事にのめり込んでいきます。

 市況の変化も追い風になり、事業を拡大させていくことに成功しました。大学院で学んだことを実務で使いながら、これまで培った営業スキルが私の武器でした。基本的なビジネスモデルが確定し、組織拡大に差し掛かった時、これまでに体験したことがない事態が発生しました。

 直近まで一緒に元気よくクライアントワークをしていた社員が、突然メンタル不調になり、休むようになったのです。

 スタートアップのフェーズにおいて、組織管理の難しさを知識としては知っていましたが、前触れもなく一緒に働いていた社員が、しかも急にメンタル不調になったことに私はショックを受けました。事業の成長は、一緒に働く社員がいて初めて実現できます。

 機会コストを含めた損失についてもですが、一緒に働いていた仲間がいなくなることによる組織への影響は、それ以上に深刻です。

 社員がメンタル不調になる前に、私に対処することはできなかったのか。そのようなことが起きないための仕組みはないのか、どうすればよかったのかと考え続けました。この出来事が私にとって、大きな挫折と成長の機会となっていきます。