大企業で働いてきた中高年に「転職」を勧めない決定的な理由【人事のプロが解説】写真はイメージです Photo:PIXTA

大企業で働いて、安定した暮らしを手に入れた中高年が直面する「転職すべきか、せざるべきか」問題。転職を決断するも、そこで待ち受ける家族からの反対だが、そこでどう対処し、どう結論を出せばいいのか?65歳の定年までに14回の転職を経験した人事のプロである著者が、現状を踏まえて助言する。本稿は、梅森浩一『定年いたしません! 「ジョブ型」時代の生き方・稼ぎ方』(光文社新書)の一部を抜粋・編集したものです。

家族が転職に反対する
理由のトップ3とは

 転職希望者は各世代で増加傾向にある。2022年の総務省の労働力調査によると、中高年の世代で伸びが目立つ。定年前の人が多い55~64歳、団塊ジュニアの45~54歳では18年時より2割以上増えた。(『日本経済新聞電子版』2023年10月16日)

 この傾向に特段の驚きはないのですが、同記事によると「ただ、家族の同意を得るのは簡単ではない」とあり、紹介されていた「反対された主な理由」が気になりました。

 それによると、そもそも「転職自体に良くない印象がある」「年収が下がる」「大手企業勤務等、肩書きがなくなる」が反対理由のトップ3だったのだそうです。

 ここからは、今まさに「定年」を目前に控え、「転職しようか」と真剣に思い悩んでいるあなたの背中を、私が一押しすべくアドバイスをしたいと思います。

 と言いつつ、「思いとどまるように」とアドバイスもいたします。「どっちつかず」で恐縮ですが、「それが正直な私の気持ち」であることも、この際、あえて述べておきたいと思います。

 ではまず、そもそも「なぜ家族は、転職によい印象を持たないのか?」について考えてみましょう。