「若い頃ハードに働かないと成長しない」説が根本的に間違っている2つの理由写真はイメージです Photo:PIXTA

働き方改革が進んだこともあり、長時間労働が当たり前ではなくなった。そんな中、40代以上のビジネスパーソンからは「若い頃ハードに働くことも必要なのではないか」という声をしばしば耳にする。しかしこれは、根本的に間違っている。なぜなのか。(山田進太郎D&I財団 COO 石倉秀明)

「ハードな労働が成長には必要」説が
根本的に間違っているワケ

 世代によるだろうが、読者の中には社会人になりたての頃は残業も厭わず、それこそ深夜まで猛烈に働いた経験がある人もいるのではないだろうか。

 かくいう私も、1社目のリクルートはかつて「大統領のように働き、王様のように休む」と言われていた会社であり、それなりにハードに働いた。2024年現在は、残業時間などの規制もされ、働き方は大きく変わっているようだが、当時は深夜まで働くことも珍しくなかった。

 人によって程度の差はあれど、40代以上の世代では、同じようにハードに長時間働いた経験をした人は少なくないだろう。

 現在は、働き方改革のもと、残業時間の規制が強化された。加えて、副業の解禁によって複数の仕事をする人が増えた。また、“管理職の罰ゲーム化”と言われるように、業務量が多い管理職になりたがらない若手も珍しくない。これらの事象から分かるように、現在は以前のように猛烈に働く、長時間働くということをしなくなってきている。

 そのような状況に対して、40代以上のビジネスパーソンから「若い頃ハードに働けないのは後々の成長に影響する」「量をやらないと質が上がらない」といった意見が度々上がる。SNSの反応を見ても、そのような考え方はまだ根強く残っていると感じることもしばしばだ。

 しかし、このような考え方は根本的に間違っていると筆者は考えている。今回は、その理由とともに今後、部下に対して何を求めるべきなのかを書いていきたい。