日本人の英語熱は明治維新の頃から高まり続ける一方、英語学習を「つらい」と感じる人はいまだ多い。そういった無邪気な学習者たちに笑顔を取り戻してもらうべく、仕事ができない社員や、愛社精神の低い社員、窓際族などによる非エリート風の言い訳や失敗をまとめた書籍が『ろくでもない英語の言い訳300』だ。ネイティブもあきれかえる、職場では絶対に使えないその内容とは? 同書から特別に一部を公開する。(初出:2023年10月30日)

ろくでもない英語の言い訳300イラスト:村上テツヤ

「健康で文化的な最低限度の生活を送りたいので、定時で帰ります」
“I want to maintain the minimum standards of wholesome and cultured living, so I’ll be leaving the office on time.”

 会社員の幸せの分岐点、「定時」。定時を境に、会社員には悲喜こもごものドラマが生まれます。言葉通り受け止めるなら、所定労働時間をきっちり働いた以上、誰にとがめられることもなく退社できるはずです。
 しかし、銀河系イチ空気を読む日本人にとって、周囲の視線や上司の圧に耐えられず、うっかり同僚の手伝いを引き受けたり、余計な外線を取ってしまったりすることで残業となり、帰宅後にひっそりと枕を濡らすのです。

軽やかに飲み会を断る、その他のフレーズ

「すみません、今日は残尿があるので、飲み会はパスします」
“Sorry, I have some residual urine today, so I’ll pass on the drinking party.”

「そんなこと言わずに、ビールの利尿作用を利用しようぜ!」

「いいメロディが頭に浮かんだので帰ります」
“I’ve come up with a good melody, so I’m going to go home now.”

「本当にいいメロディなら、後から思い出せるはずなので、もう少し付き合って」

「行けたら、後から行きます」
“I’ll go later, if I can.”

「気遣い」「オブラート」「優柔不断」「空気」「匂わせ」など、日本人の四季折々の曖昧さが詰まったおなじみの返事です。表現は曖昧であるものの、意味としては「絶対行かない」とニアリーイコールという不可解さに外国人もびっくり。

(本稿は、『ろくでもない英語の言い訳300』を抜粋、再構成したものです)