ドライバーの意思に
アクティブに応える魅力

 4WDはNISMO専用チューン。発電用モーターやフロントモーター(136ps/300Nm)は標準モデルと変わらないが、トルク配分制御が見直された。リアモーターは標準の68ps/100Nmから、82ps/150Nmに大幅にアップしている。ECO/ノーマル/NISMOの3段階に切り替えられる走行モードも見直され、ECOでも標準のスポーツと同等、NISMOを選ぶとアクセルで積極的にコントロールできるセッティングになった。タイヤの接地状況にもよるが、NISMOモードにすると最大で7割強リア駆動となる。

 実際に乗ってみると、びっくりするくらい安心して活発に走れる。回り込んだコーナーでアクセルをほんの数mm踏み込むだけで、2WDとの違いが顕著に伝わってくる。FFならアクセルを抜いてタックインぎみにして旋回姿勢を作る場面でも、パーシャルスロットルを意識して、一定量の姿勢変化にとどめると不思議とクルマが行きたい方向に向きを変えていってくれるのだ。ドライバーの意思にアクティブに応える魅力がこのクルマにはある。

 4WDの強みを最も感じたのは、コーナーの立ち上がり時だった。クルマの旋回をイメージしてほしい。FFの場合、ステアリングによる操舵と前に行こうとする駆動力の両方をフロントタイヤ、中でも外輪が担う。仕事量が多いため、4本のタイヤのうちの1本に負担が集中しがちだ。NISMO tuned e-POWER 4WDは、リアの駆動力を高め、4輪をリアルタイムに緻密に制御。それぞれのタイヤが性能を最大限に発揮できるよう、クルマ側が制御してくれる。だからコーナリングの姿勢が安定し、優れたライントレース性を実現している。結果、コーナーの立ち上がり時に安心して加速を楽しめるのだ。今回はドライ路面での試乗だったが、ウェットやスノーなど低μ路面ならより効果が実感できるだろう。行われている制御は実に緻密だ。そこにこだわるからこそ、NISMOが技術屋集団として愛され続けているに違いない。