「性機能がないなら性欲もないはず」――。障害者をまるで聖人君子かのように思い、性の問題をタブー視する風潮はいまだ根強い。「障がい者専門風俗デリバリーヘルス」で働く現職看護婦が語る、障害者の性の実状とは?本稿は、中山美里『ルポ 高齢者のセックス』(扶桑社)の一部を抜粋・編集したものです。
「性機能がないのなら性欲もない」
という障害者への偏見は根強い
「お客様の中に『障害者は聖人君子のように見られているんです。性欲がないと思われているんですよね』と話した人がいます。こういった声はよく聞きます」
このように話してくれたのは、「障がい者専門風俗デリバリーヘルス」を看板に掲げる「ハートライフ」で働く貴美子さん(33歳)だ。
本業は看護職で、生活のために副業としてハートライフに勤め始めてから7年になる。華奢な体と清楚な雰囲気の女性で、普段は夫と子供たちと暮らしている。職業柄か、小さなお子さんがいるためか、ゆっくりと優しく話す口調がとても心地よい。
同店のホームページを見ると、「障害という個性を持つあなただけが特別に味わえる至高の快楽」「障がい者との意識のバリアフリーを目指します」などのキャッチコピーが並ぶ。お客に向けた利用に際するメッセージを紹介したい。
皆様に心の癒される時間を作ってあげたい。
生きる喜びの1つにしてほしい。
ハートライフでは、全ての人々が性的な喜びを平等に楽しむ権利を尊重し、障がい者の方専用の心と体のケアが出来る風俗店として、女の子と一緒に過ごせるデリヘル(デリバリーヘルス)サービスを提供しています。
女の子とデートしたり、お話したり、抱き合ったりなど、健常者が当たり前に解消できる欲求のお手伝いをさせて頂きます〉