障害の内容によっては、風俗店を利用することに不向きなこともあるだろう。けれども「性欲をどうしたらいいのか」と悩む当事者や家族に寄り添い、解決を探ってくれる存在自体が今はないに等しい。

 実際、障害児を持つ親に状況を聞いたところ、「父母の会などで子供の性について話題が出ることもあるが、具体的な解決方法をきちんと教えてもらえることはない。雑談の1つとして話題に上がり、解決のないままその話題が締めくくられる」とのことだった。悩みを相談する公的窓口さえない状況なのだ。

「お客様は恋人や配偶者がいらっしゃらないから利用しているという方が多いです。出会う機会すらないとお話しする人もいますね。

 『障害が重度になればなるほど諦めなければならないことが腐るほどある。いろんなことを我慢するのではなく、諦めることで折り合いをつけている』と話してくださった人もいました。諦めてきたことを繰り返してきているから、最初から望まなくなるんだ……とのことで、それを聞いた時には、重い空気になりましたね」(同)