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【精神科医が教える】いつも全力投球でパンクしそうな人に知ってほしいことPhoto: Adobe Stock

“真面目な人”の処方箋

今日は「手の抜き方」についてお話ししてみたいと思います。

手を抜くというのは決して怠けることではなく、むしろ「やらなくてもいいことを考える」ための工夫です。

そして、なかなか手抜きができない真面目な人にとって、これは少し難しいことかもしれません。

それは本当にやらなければいけないこと?

本来はやらなくてもいいことなのに、なんとなく「やらなければならない」と思い込んでいることが多いものです。

やらなくてもいいことをやらなければいけないと思い込み、やったほうがいいことに力を注げない……そんな本末転倒の状況を避けるためには、上手に手を抜く必要があるのです。

まずは「やらなければならない」と漠然と思い込んでいることに気づく。そのために、目の前のタスクが本当にいまやるべきことなのかを、一度立ち止まって確認するクセをつけましょう。

無意識の思い込みを外す

というのも、自分の意思ではないのに、なんとなく「こうするべきだ」という他人軸に無意識に縛られているケースがあるからです。

たとえば、「主婦なら家事を完璧にこなさなければならない」と無意識に思い込んでいるかもしれません。そこに手を抜く余地はないでしょうか? 自分が本当にやりたいことを犠牲にしていないでしょうか?

思い切って食器洗い乾燥機を買って、皿洗いの手を抜く方法だってありますし、ほかにやりたいことがあればそちらを優先するための手の抜き方が思いつきやすくなるはずです。

要領がいい人の“手抜き思考”

逆説的な考え方ですが、手を抜くというのは、他のことにエネルギーを注いだ結果だと、まずは考えてください。自然に余計な部分がそぎ落とされるようなイメージです。

自分が本当にやりたいことが見つかれば、そのことにエネルギーを集中させることで、他のことは自然に手抜き思考になっていきます。

ですから、大切なのは、自分が心から「これをしたい」と思うことが何かをはっきりと見極めることです。そして、そのやりたいことを優先して取り組むことで、結果的にほかのことは少しずつ手が抜けていきます。

上手に手抜きができるようになる

自分の大切なことに集中すると、自然と他のことには余計な力を入れなくてよくなるのです。

ただし、手を抜くといっても、あれもこれも手を抜くのではありません。自分にとって特に大切なものを1つか2つに絞り、そのことにエネルギーを注いでみてください。

すると、他のことはどうしても手を抜かざるを得なくなります。上手に手抜きができるようになるためには、まず何を大切にしたいのかを自分で明確にして、それに集中することなのです。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。