【コミュニケーションスキル3】
迅速かつ柔軟な意思決定
報道の現場では、刻一刻と変わる状況に迅速に対応する必要があります。特に緊急事態や突発的なニュースでは、瞬時に判断し、動かなければならない場面が多々あります。組織の中でこのような迅速な意思決定を行うには、もちろん、その内容にもよりますが、現場の担当者も含めた「その場での判断力」が重要です。
企業においても、すべての決定をトップ層の意思に委ねると、意思決定が遅れ、現場のフラストレーションを生むことがあります。実際に私が社会人として初めて勤めた職場も、意思決定はトップダウンがほとんどでした。社員は「どうせ意見を言っても受け入れてもらえないだろう」という諦めモードで臨んでいたこともありました。その点、報道現場では非常にフラットな関係性が保たれていると感じていました。上司であるプロデューサーにはすぐに相談できる体制で、しかも、必要に応じて意思決定を現場に任せ、迅速かつ柔軟な対応で臨んでいます。これにより、現場の社員は自らの判断で動くことができ、組織全体が効率的に機能するようになります。社員のエンゲージメントを向上させるためにも、ボトムアップの情報共有を奨励する仕組みも大切だと思います。そのためには普段からの信頼関係の構築も欠かせません。
まとめ(3つのコミュニケーションスキル)
報道現場におけるチームは、「正確な情報を迅速に伝える」という共通の目的を持って活動しています。この目的意識が、チームの一体感を強め、困難な状況でも協力して目標を達成する原動力となっています。組織全体の結束力を高めるためには、目的を明確にし、その達成に向けて個々のメンバーがどう貢献できるかをメンバー自身が理解することが重要だと思います。情報の透明性や迅速な意思決定、異なる視点の尊重、これらがチームワークの強化となり、より柔軟で生産的な組織環境をつくり出すことができるでしょう。