
業績回復とともに、コロナ禍の経験から非鉄道分野へ注力する鉄道業界。給与にも変化が表れ、初任給を大幅に引き上げる動きも出ているが、各社の実際の待遇にはどの程度の差が生じているのか。特集『25年 給料ランキング』の本稿では、主要19社の最新データを基に、給与ランキングと待遇面での注目の動向をまとめた。(ダイヤモンド編集部 田中唯翔)
西武HDは初任給を6.8万円引き上げ
鉄道大手19社の給料ランキング
人々の移動が激減したコロナ禍を抜け、旅客需要がコロナ前の水準に戻りつつある鉄道業界。業績も増収増益が続いているが、パンデミック(世界的大流行)の反省を踏まえて鉄道事業だけに頼らない事業成長を模索する動きが出てきている。
業界最大手の東日本旅客鉄道(JR東日本)は、7月1日に新たなグループ経営ビジョン「勇翔2034」を発表した。今後は不動産やホテル、流通などの生活ソリューション事業を成長の柱に据え、2024年度に約2000億円だった同事業の営業利益を31年度までに4500億円程度へ拡大することを目指している。
非鉄道事業の拡大に伴い、JR東日本の採用戦略にも変化が表れている。24年度からは従来の総合職に加え、不動産やデータマーケティングなどの成長分野で専門人材の育成を目指すジョブ型の人事制度を導入した。ジョブ型の大卒初任給は29万2075円と、総合職(26万2075円)より3万円高く設定し、これまで獲得できていなかった人材の確保に向けて待遇向上に動きだしている。
こうした事業構造改革を背景に採用力強化を実施しているのはJR東日本だけではない。24年春に不動産回転型ビジネスに参入を宣言し、その第一歩として25年2月に「東京ガーデンテラス紀尾井町」を米ブラックストーンに約4000億円で売却した西武ホールディングス(HD)も同様だ。
同社の25年度の大卒初任給は、24年度の25万2000円から6万8000円増の32万円に引き上げられ、総合デベロッパーや大手金融機関に引けを取らない水準に達している。
では、鉄道各社の実際の給与はどの程度の水準なのか。主要19社の有価証券報告書を基に平均年間給与を集計し、ランキング化した。
ランキング結果をひもとくと、前年度から10%以上給与がアップしてトップ5位入りした企業も存在した。一体それはどこの会社なのか。気になる結果は次ページで公開する。