我が子が不登校になったとき、「まさかうちの子が、なぜ?」と思う親は多い。そのため、いざ問題が起きたときに適切な処置がとれないケースも見られるという。不登校児を「そっとしておく」ことは一見正しそうな対応に見えるが、実はさらなる事態の悪化を招いてしまうのだ。不登校を長期化させないためには、最初の1週間での「初期対応」が重要となる。本稿は、榎本博明『学校 行きたくない 不登校とどう向き合うか』(平凡社)の一部を抜粋・編集したものです。
自分の子供が不登校になることを
ほとんどの親は想像していない
不登校が急増していることはニュースなどで知識としては知っていても、あくまでも他人事としてであり、まさか自分の子が不登校になるとはだれも思っていないのではないか。
ところが、自分の子が学校に行くのを渋るようになり、ある日突然学校に行かなくなり、わが子が不登校になったことを知り、大変なことになったと動揺する。不登校になった子の親の多くは、このような感じなのではないか。
わが子が不登校になったときの家族の戸惑いは、第三者には想像を絶するものがある。「まさかうちの子が、なぜ?」というのは、不登校の子の親がまず最初に思うことなのではないか。
そして、何とかして登校させようと試みてはなかなかうまくいかずに焦る、ときに強引な手法を使っては自己嫌悪に陥るというのも、不登校の子の親にみられがちな心理状況なのではないだろうか。不登校という現象を他人事としてみているときには冷静に考えられても、いざ自分事となると冷静ではいられないものである。