偉人たちの寝取り寝取られ事例を
多く発掘していた福沢諭吉
近現代はいざ知らず、歴史的に見れば、妻の譲渡(ないし奪取)ということは、古代・中世にあってはごくごく普通に見られることであった。
典型的なのは戦争の結果としての妻の奪取であって、敗れた側の君主の妻が、勝ちを収めた方の君主の妻となるわけで、古来、戦さに際してしばしば見られた事態である。
まさにこのようなことがエディプスの身に起こるのである。すなわち、エディプスは隣国のリーダーとして、父とは知らずに父王を討ち取り、母とは知らずに母である王妃を自らの妻とするのである(編集部注/生後すぐテーベの父王に捨てられたエディプスは隣国の王に育てられ、長じて実の父を殺害、テーバイの王となり実の母をめとった)。
エディプス・コンプレックスは近親相姦のタブーの代名詞のようになっているが、ここには母子相姦と、父殺しと、妻の奪取という3つのタブーが絡まっていることがわかる(もっとも妻の奪取という行為の方は古代や中世にあっては特にタブーの対象となっていなかったと考えられるが)。