そもそも、ビジネスとは、社内における上司や先輩、同僚や部下から始まり、社外においては、顧客、業者、提携企業の担当者、さらには、株主、メディアの担当者など、すべてにおいて「人間」を相手にする営みです。すべてにおいて、「人間」を相手にし、「人間の心」を相手にする営みです。
それゆえ、分野や職業を問わず、優れたビジネス・プロフェッショナルになっていくためには、単にスキルやセンス、テクニックやノウハウなどの「技術」が優れているだけでは不十分であり、仕事で関わる人々の「心の動き」を感じ取り、推察し、適切な言葉と行為で働きかける力が求められるのです。
では、そうした力を身につけるためには、どうすれば良いのでしょうか。
いくら「本」を読んでも、「心」を読めるようにはならない
ここで、人々の「心の動き」を感じ取り、推察し、適切な言葉と行為で働きかけると言うと、あなたは、「心理学」の本を読むことを考えるかもしれません。
しかし、残念ながら、そうした本を読んでも、「人間の心」についての「知識」を学ぶだけに終わり、「深い智恵」を身につけることはできません。
「人間の心」の動きを感じ取り、推察し、適切な言葉と行為で働きかける力とは、どこまでも、現実の経験を通じて掴むべき「深い智恵」であり、日々の仕事やビジネスの実践の中から掴み取るべきものです。
では、どうすれば、日々の仕事やビジネスの実践の中から、そうした「深い智恵」を掴むことができるのでしょうか。
実は、誰にでもできる一つの技法があります。それが、
会議では、参加者の「心の動き」を深く読む
という「心理推察の技法」です。
相手の言動の「奥」にあるものを想像する
すなわち、日々の商談や交渉、会議や会合において、顧客や交渉相手、会議参加者や会合相手の発言や表情、仕草や雰囲気の奥にある「心の動き」を推察し、想像し、深く読むという修練をすることです。