あの場面があまりにも象徴的になったので、10年以上の歳月を経て作られた『アベンジャーズ/エンドゲーム』のエンド・クレジットの最後には、洞窟内に響くトニー・スタークのハンマーの音が使われたほどだ。
アイアンマンの心臓を
いじっていいのはペッパーだけ
トニー・スタークとペッパー・ポッツを演じるダウニーとパルトローの相性の良さは演技を越えて本物だった。それに感づいたファヴローが猛烈なこだわりを見せた場面がある。
ペッパーがトニーの胸郭に手を突っ込んで、アーク・リアクターを交換する場面。これは元々グロさが笑えるように書かれた場面だった。ダウニーの胸部に取り付ける特殊な胸のダミーをジェイミー・ケルマンが造形し、KYジェリー〔粘性と潤滑性のある水溶液で、元々性的な目的で使用される製品〕を流し込んでトニーの生体機械的な心臓部をべとべとにする段取りだった。
しかしこの場面は感情的な重みを持つべきだとわかっていたファヴローは、脚本の該当部分を自分で書き直すことにした。