「ジェフは現場に入る3ヵ月前には脚本を読んでおきたいタイプだから」とファヴローは言う。しかし『アイアンマン』の現場では3ヵ月前どころの話ではなかった。「毎日、ロバートが現場に現れては、トレーラーに籠って1人で台詞をいじって遊んでいました」

「まあ、骨組み(アウトライン)はあった」とブリッジスが嫌そうに認めている。

 ロイド・カトレットは、長年ブリッジスのスタンドインを務めてきた(スタンドインとは、照明テストその他の技術面のリハーサル中に、俳優の替わりにカメラの前に立つ俳優と背格好や肌のトーンが近い役者のこと)。カトレットが撮影話を教えてくれた。

「朝現場に入ります。するとジェフとファヴローと何人かのプロデューサー、脚本家が1人、そしてロバート・ダウニー・ジュニアが楽屋に入って、どっしり座ったまま4時間も5時間も出てこない。

 その間私たちは『今日はどんなことに決まったんだろうね』と考えながら、ぶらぶら休んだり昼飯を食べにいったりしています。でもやっと出てくるときには、その日に撮る場面のすごく面白いアイデアを持って出てくるんです」