そして、彼らがその知識と経験を持ったまま育ったならば、仮に実際にトゥレット症の人に出会ったときも「あぁ、この病気はチック症という症状が出るんだよな。小学校のとき、同じ病気の人が講義に来てくれていたな」と思い出してくれるかもしれません。
酒井隆成 著
そうやって若いうちから価値観を育てていけば、早い話、10年、20年くらいで環境は大きく変わるはず。さらに、その子たちが親世代になったとき、自分の子どもに「突然声を出したり、身体を動かしたりする、トゥレット症という病気があるんだよ」と伝えてくれれば、さらに理解が進みます。
そのころには、どんな地方であってもトゥレット症の患者を「狐憑き」だなんて呼ぶ人はいなくなっているでしょう。
そうなれば、日本人の病気に対する価値観も変わっているでしょうから、トゥレット症の当事者のみならず、さまざまな病気や障害に悩む人たちが減るはずです。
だからこそ、小さいうちから子どもたちがこうした病気に触れる教育機会を増やしてほしいと感じます。