ローカル線全体で232.6億円の赤字
具体的な費用負担の議論が急務
経営情報が開示された17路線・30線区は、運賃収入の合計が年間32.2億円の一方で、営業費用は264.8億円もかかっている。対象路線を維持するために、年間232.6億円もの営業損失を出している。
1位の芸備線・東城駅~備後落合駅間は、イベント開催による利用促進などが奏功し、前回公表時の営業係数「23687」、1日利用者13人に比べれば、利用実績は大幅に上昇した。しかし、それでも営業係数・乗客数ともにワーストであることに変わりはなく、公表の対象外となる1日利用者2000人には程遠い。
鉄道は固定費が高く、よほどの利用者がいない限り、利幅はきわめて薄い。芸備線に限らず赤字の鉄道を存続させるには、例えばJR只見線を存続させるために復旧費用と運行経費の負担をしっかり行った福島県のように、声高な主張に留まらない、具体的な費用負担が必要とされるだろう。
営業係数が高い=費用対効果が良くない路線の存続に向けた議論は、過疎化と少子高齢化が進む日本において、今後ますます必要となるに違いない。