2024年8月の実質賃金の伸び率
女性や高齢者の就業率が上がり、労働供給が緩んでいるために賃金が上がりにくいのではないか――。これは7年前に、『人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか』の中で筆者が原ひろみ・明治大学教授と論じたことだ。そして、賃金上昇が始まるのは女性や高齢者の労働供給が枯渇してからだと予想した。
足元の実質賃金の状況はどうか。厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によると、2024年8月の実質賃金は前年同月比で0.8%下落した。現金給与額は同2.8%の伸びを見せたものの、消費者物価指数の伸び率である3.5%には及ばなかったためである。6月に27カ月ぶりにプラスとなった実質賃金は、再びマイナスに転じた格好だ。