長期にわたる経済低迷と賃金停滞にさらされた日本は、いつの間にか世界から「安い国」のお墨付きを受けるようになってしまった。税金や保険料の国民負担率の高さも相まってさらなる少子化の加速も待ったなしの現状を、元明石市長が痛快に斬る!本稿は、泉 房穂『政権交代、始まる 炎上上等!タブーなき政治の真実』(光文社)の一部を抜粋・編集したものです。
外国人観光客にとっては
「2500円ラーメン」は安い
33年ぶりの大幅賃上げ。日本労働組合総連合会(連合)が2024年3月15日に発表した、春闘の第1回回答の平均賃上げ率は5.28%となった。
世間は大騒ぎやけど、この32年間、政府は何やっとったんや。しかも、やっと上がったと思ったら、たった5%。これはちょっと前までの法定利率と同じ。つまり、それくらいの賃上げは当然ということや。
海外では賃金上昇は普通で、先進国で日本だけが30年以上も貸金が上がらなかった異常な国だということ。賃上げを喜んどる場合じゃない。
だいたい、今回の賃上げの恩恵を受けるのは大企業の正社員。そもそも連合は大企業が中心の組識で、中小・零細企業の社員や非正規労働者にとってはほとんど関係のない話。だから、将来への不安で結婚を躊躇し、少子化が進む。連合が大幅賃上げと喜ぶだけでは、状況は変わらん。
先日、テレビのロケで、2泊3日で北海道のニセコに行ってきた。ラーメン1杯が2500円もするといわれる実態を取材するのが目的。
そこで、海外からの観光客にたくさんインタビューした。アメリカ、イギリス、ドイツ、オーストラリア、マレーシア、シンガポール、台湾など、いろいろな国の人に聞いても、「ニセコは安い」と異口同音に答えた。ラーメン2500円が高いという人は、1人もいなかった。アジアの人も「日本のほうが、自分の国よりも安い」と驚いていた。
ニセコに来ている外国人は、バブリーなカネ持ちばかりというわけではなく、実際は普通の家族連れが多い。そんな人々が、日本は安いと言っている。
さらに特筆すべきことに、彼らは「日本では1時間1000円で働いてるの?」と、目を丸くしていた。自国では時給が2000円、2500円という。
一方、日本はずっと時給1000円程度が普通になっている。30年以上、ほとんど上がっていない。経済は低迷を続け、いつのまにか他国から取り残されてしまった。そのことを、ニセコに行って痛感した。
ニセコのアルバイトは時給2000円以上も珍しくない。日本では高いといわれるが、海外ではニセコが当たり前ということ。