ヨレヨレ面接官に就活生の心はスン…

 反対に、出会う管理職が魅力に乏しかったらどうだろうか。せっかくその企業に関心を持ち始めた就活生でも、ヨレヨレのスーツを着たやる気のない管理職が面接官として出てきたら、興味も関心も一瞬で失せてしまい、「こうはなりたくない」と思うだろう。

 管理職はその企業を象徴する「モデル」であり、採用活動における重要な「広告媒体」でもあるわけだが、残念ながらわが国の管理職には魅力的な人材が乏しいのが現状なのである。

 図7に示すように、内閣官房の「プライム市場時代の新しい企業組織の創出に向けて」という調査(2021年)では、海外の企業の管理職に比べて、わが国の管理職層のマネジメント能力(「部下に説明する能力」や「部下の業務を管理する能力」)が段違いに低いという結果が出ている。

 その弊害として、以下のような問題が生じてくることが想像できる。

・ 若手の教育ができないから若手が育たない
・ (自身の能力が低いために)仕事にやりがいを感じない
・ 会社に誇りを持つことができない
・ 自分の頭で考えて仕事をすることができない

 しかも、こうした「管理職問題」は、会社側(経営者)も十分に把握していることが、以下の数字からわかるのである。

【管理職育成に課題を抱える企業 94%】
(総務省「人材育成等に関する調査結果概要」)

 ではなぜ、日本の管理職はマネジメント能力が低いまま放置されているのだろうか?

 ある調査で、管理職の中で「特に仕事のための学習をしていない」と答えた人の割合をグローバルに比較したところ、日本は断トツに低い数字が出たという。実に日本企業の管理職の半数が、「学習をしていない」と答えているのには驚くほかないだろう。