東京株式市場では海運銘柄が下落…日本への影響は?
25年1月20日の就任式を経て、トランプ政権は本格的に政策運営に取り組むことになる。現時点で、同氏が主張した政策の全てが実現するかはわからない。16年からの4年間の政策運営でも見られたように、トランプ氏がいつ、どのような政策を目指すかも読みにくい。
トランプ氏の関税引き上げにより世界の貿易量が低下するとの懸念から、6日の東京株式市場では海運銘柄が下落した。アジア時間から欧州時間序盤にかけ、中国、台湾、韓国、欧州の主要な海運関連企業の株も売られた。主な銘柄に、中国の海運最大手COSCO(中国遠洋海運集団)、韓国の海運大手HMM(旧社名は現代商船)、台湾の萬海航運(ワンハイラインズ)などがある。欧州時間の午前、ドイツのハパックロイド、デンマークのAPモラー・マースク株も下落した。
デジタル化の加速、ウクライナや中東情勢など地政学リスクの高まりにより、海運など物流機能の重要性は世界中で上昇している。トランプ氏の政策運営次第で、中東やウクライナ、さらには朝鮮半島などの地政学リスクは上昇し、商船航行コストの上昇も懸念される。そうした懸念を反映し、主要投資家は海運関連株を売りに回ったのだ。
トランプ氏は、バイデン政権が実施した半導体の支援策に関しても、関係国に関税の引き上げを突きつけることで、より良い取引を実現できると主張している。トランプ政権の発足後、米国の要求に対抗して自国産業の保護や、国内生産を重視する国、企業は増加するだろう。そうなるとトランプ氏は関税引き上げや規制強化をちらつかせ、満足のいく条件を相手国などから引き出そうとするはずだ。
その結果、米国第一のトランプ氏の政策は、国境のハードルを引き上げ、世界経済が反グローバル化する恐れが高い。徐々に、世界経済の効率性は低下するだろう。米国の対中姿勢の硬化により、わが国経済の下振れリスクが高まることも想定される。
また、財政悪化を理由に米国債の格下げ懸念が高まり、世界的に株式、為替レートなど資産価格の変動性が急上昇する恐れも増す。今後4年間、世界は再びトランプ氏に振り回されることになるだろう。その覚悟をしておいた方がよさそうだ。