凄い新人が入ってきたと驚いた
コントロール抜群の上原浩治

 上原浩治投手(巨人)が1999年に15連勝したとき、凄い新人が入ってきたものだと驚きました。球の回転がきれいで、上原投手のリリースポイントから捕手のミットまで、投球の軌道が一直線に見えるイメージです。しかし、打者からすればストレートとフォークのコンビネーションをコマンド(自由に操る)で決められるので、厄介だったでしょう。

 投手は「9イニング平均の与四球率が2.00個以内だと、抜群にコントロールがいい」部類だそうです。最近では石川雅規投手(ヤクルト)が1.78個(2023年現在)。“投げる精密機械”、“針の穴を通すコントロール”の異名を取った往年の通算320勝投手・小山正明さん(阪神ほか)は、1.80個です。上原投手はそのはるか上をいく1.26個。名球会投手の中でも段違いだそうです。プロ野球記者たちは喜んでいました。

「試合終了後、ヒーローや監督に取材したあと、球場の記者席で原稿を書き終わると終電ギリギリで、だいたい帰宅は深夜0時半ごろ。それが上原の登板日は試合が早く終わる。その日のうちに帰宅できるし、カミさんもまだ起きている」

 その記者に言わせると、故・野村克也監督は上原投手を絶賛していたそうです。

「打者に1つの球種を意識させておいて、もう1つの球種への意識を稀薄にさせるのがワシの配球論。上原はストレートとフォークボール、内角高目のボール球と外角低目のストライク。この2ペアを絶妙なコントロールで操った。だから勝てる投手だったのだ」

上原浩治
●1975年4月3日生まれ、大阪府出身。187センチ、87キロ。右投げ右打ち
●東海大仰星高→大阪体育大→巨人(1998年ドラフト1位)→オリオールズ(2009年)→レンジャーズ(2011年)→レッドソックス(2013年)→カブス(2017年)→巨人(2018年~2019年)
■日米通算21年=748試合134勝93敗104ホールド128セーブ、防御率2.94
■最多勝2度(日)、最優秀防御率2度(日)、最高勝率3度(日)、最多奪三振2度(日)
■沢村賞2度、ベストナイン2度、ゴールデングラブ賞2度、新人王(日)、
オールスター出場9度(日8、米1)
■主な記録=「20勝、30セーブ」経験投手、日米通算100勝100ホールド100セーブ、ワールドシリーズ胴上げ投手