バッテリーを組む谷繁元信捕手と相性がよく、以心伝心だったのでしょう。「1球目から打ってこない雰囲気を感じた打者」には大胆にもド真ん中にストレートを投げ込んできました。ストッパーとしてマウンドに登り、走者を出さないで3人で抑えられる。それは横浜ファンばかりか、球審にとっても安心できる投手でした。

佐々木主浩
●1968年2月22日生まれ、宮城県出身。190センチ、98キロ。右投げ右打ち
●東北高〈甲子園〉→東北福祉大→横浜大洋(1989年ドラフト1位)→マリナーズ(2000年)→横浜(2004年~2005年)
■日米通算16年=667試合50勝54敗381セーブ、防御率2.60
■最優秀救援5度(日)
■MVP1度、ベストナイン1度、オールスター出場10度(日8、米2)、新人王(米)
■主な記録=連続試合セーブ22(日)

審判員は春季キャンプに参加して
ブルペンで目慣らしをする

 岩瀬仁紀投手(中日)のスライダーは、左腕から繰り出されて鋭角に曲がり、右打者の右ヒザ元に巻き付くイメージです。マスコミは“死神の鎌”と表現していましたね。

 左打者へのシュートも厳しかったです。2004年、踏み込んで打ちにいった金本知憲選手(当時・阪神)の左手首に当たって骨折させてしまったほど威力がありました。金本選手は確か、連続試合フルイニング出場の記録がかかっていました。

 審判員は春季キャンプに参加してブルペンで目慣らしをします。若手審判員はそれこそ毎日300球から400球、ボール、ストライクの判定練習をするのです。全盛期の岩瀬投手のスライダーとシュートの切れ、ストレートの質は凄かったです。

 ベテラン審判員でも岩瀬投手の「外角際どいコースのスライダーとストレート」の、ボールとストライクの出し入れのジャッジが10球できたら、そのシーズンは大丈夫だなという自信がついたほどです。

 審判員は、若手は動体視力はいいが、経験値にまだ乏しい。ベテランはその逆です。その兼ね合いも、キャンプでの練習として大事なのです。

岩瀬仁紀
●1974年11月10日生まれ、愛知県出身。181センチ、84キロ。左投げ左打ち
●西尾東高→愛知大→NTT東海→中日(1998年ドラフト2位~2018年)
■通算20年=1002試合59勝51敗82ホールド407セーブ、防御率2.31
■最多セーブ5度、最優秀中継ぎ投手3度
■オールスター出場10度
■主な記録=通算登板1002(先発1)、通算セーブ日本記録407、シーズン46セーブ(セ・リーグ最多タイ)、15年連続50試合登板