ドジャースの大谷翔平
Photo:Todd Kirkland/gettyimages

今年、北米4大プロスポーツ史上最高となる10年総額7億ドル(約1015億円)でドジャースに移籍した大谷翔平は、打者としてキャリアハイの数字を叩き出し、メジャー記録までも更新。ケタ外れの凄さを見せつける大谷が「去年と同じやり方では今年はダメ」と進化し続ける理由、さらに「40歳までフィジカルを強化し続けられたらベスト」と、契約最終年である10年後のビジョンまでも明かした。本稿は、石田雄太『野球翔年2 MLB編2018-2024 大谷翔平 ロングインタビュー』(文藝春秋)の一部を抜粋・編集したものです。

メジャーのピッチャーは年々
球が速く強くなる一方

――今年はバッター1本、しかもドジャースの1年目となれば、周りも大谷さん自身も、越えるべきハードルは高く設定せざるを得なくなります。昨年は両立が難しいと思われていた打率3割とOPS(編集部注/出塁率と長打率を足した数字)1.000をともにクリアしました。その技術的な進化をどう感じていますか。

「まずは年々、冷静に打席に立てるようになっているのは大きいと思います。慣れもありますしね。ただ、おそらく去年と同じやり方では今年はダメだと思うので、今のところは同じ数字を出すのは難しいというイメージです。今年のOPSはよくて.950とか.960……やっぱり千(1.000)を超えるのは難しいですよ。運とまでは言いませんが、去年は入るべきホームランが入っていたのも大きかったし、いい流れもありました。必ずしも去年やったのと同じことを今年やってみて、去年と同じ数字になるという感覚はありません。近い数字にはなると思いますけど……」

――ということは、今年は何かを変えて臨んでいるんですか。

「いや、去年の感覚を出していくことを目指しています。それでも同じ感覚を再現することが難しいんです。一度やってできたからといって、今年もできる保証はありませんからね」