NHK Eテレの大人向けの人気生活情報番組「あしたも晴れ!人生レシピ」に、最新刊『「介護」「看取り」「相続」の不安が消える! 実家片づけ』の著者で片づけアドバイザーの石阪京子氏が出演。「実家片づけ」に悩む女性のご実家を実際に一緒に片づけられました。番組内でも紹介された、実家に溢れるモノや紙類を整理し、親子ともに幸せになれるそのノウハウを、本書から抜粋・編集してお伝えします。

【NHK Eテレ「あしたも晴れ!人生レシピ」で話題!】石阪流「実家片づけ」で最初に片づける場所とは?Photo: Adobe Stock

まず大切にしたいのは「親の気持ちに寄り添うこと」

「実家片づけ」の難しいところは、子ども側には「モノがあふれた家だと、転倒や落下の危険がある」「お金の事情も把握できないから不安……」など、心配な思いがあるのに、親自身は「今、困っていないから大丈夫」「いつかするけど今じゃなくていい」と必要性を感じていないこと。

 このようなすれ違いがあるので、どうしても平行線になってしまいがちです。
 ですから、まず、大切にしたいのは、「親の気持ちに寄り添うこと」。

 実家片づけでは、たとえ使わないものでも、親御さんの思い入れがあるもの、取っておきたいと思うものは捨てません。親にとって大事なものを知るために片づけるのです。まずはそのことをわかってもらいましょう。

 また、親御さんは「要・不要・とりあえず取っておく」などの判断を座ってするだけで、実際にモノを動かしたり、処分したりするのは子どもです。なので、体力に不安がある親御さんでも、まったく問題ありません。座って判断しているだけで、住みよい空間に変わることをイメージしてもらいましょう。

「実家片づけ」は、どのスペースから始めるのがよい?

 そして、実際に「実家片づけ」を取り掛かるときには、順番が非常に大事です。
 まずは、判断保留のものなどを置いておく「仕分け置き場」となる部屋を確保しておきます。それができたら、次の順番で片づけます。

【1】キッチン→【2】寝室→【3】リビング の順番です。

 キッチンを最初に片づける理由は、年輩の方にとって最も生活に近い場所だから。
 
3度の食事はいくつになっても必要なので、キッチンが片づいて使いやすくなると、快適さをすぐに実感できます。 

 しかも7時間もあれば、だいたい片づきます。

 また、キッチンは「省略と代用の考え方」を学ぶのに最適な場所。これは、用途が限られていたり役割が重複したりしているモノを減らし、他のモノで代用していくという考え方です。

 これがわかると、他の場所を片づけるときも、処分すべきモノの判別がつきやすくなり、前向きに取り組めるようになります。

 まずは食器棚やシンク下など、キッチンにあるモノを全て出して床に並べます。

「え~、大変そう」という声が聞こえてきそうですね。たしかに、足の踏み場がなくなりますし、気分も滅入ってきます。

 でも、実はその大変さが肝なんです。

「こんなにモノが多いんだよ!」という現実をご両親に突きつけ、例えば10個出てきた保存容器を一つひとつ「いる? いらない?」と聞いていくと、どんなにもったいない派の人でも、必ず「それはいらない」と判断するモノが出てきます。

 また、キッチンは賞味期限切れのストックも数多く眠っているので、処分するモノが明確なのもポイント。 
 こうやって収納スペースを空けていくことで初めて、出しっぱなしになっているモノをしまう場所が確保できるのです。

 キッチンが片づくと、再び、お料理や食事をすることが楽しみになり、前向きに人生を楽しもうという気持ちになる高齢者の方も多いのです。

*本記事は、石阪京子さんの最新刊『「介護」「看取り」「相続」の不安が消える 実家片づけ』から、抜粋・編集したものです。