全落ちを回避しつつ、憧れの志望校に合格する併願戦略をどう組めばいいのか。難関校に強い中学受験塾である希学園首都圏学園長の山﨑信之亮氏に、偏差値帯が異なる18人の生徒の併願戦略を前後編に分けて解説してもらった。今回は特別に合格校だけでなく、不合格校も含めた全受験校とその合否も明らかにする。特集『わが子が伸びる中高一貫校&塾』の#14では、前編として偏差値帯上位9人の全受験校と合否を公開。前受け校の不合格をばねに御三家に合格した女子や、習い事と両立して難関校を狙う男子など、併願戦略の裏側も開陳する。(構成/ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)
持ち偏差値別に併願戦略や
全受験校の合否まで公開
多くの塾は難関校の合格実績を目立つようにウェブサイトに掲載するが、親としては合格者の持ち偏差値や全受験校、さらには不合格校も知りたいのが本音だろう。そこで今回は特別に希学園首都圏にデータを提供してもらい、偏差値帯別の併願戦略のリアルをお届けする。
注目してほしいのは、「前受け校から不合格校まで全ての受験校の合否」「希学園およびSAPIXの平均偏差値」なども赤裸々に公開していることだ。併願戦略の決定プロセス、受験直前および本番中の指導についても山﨑信之亮・希学園首都圏学園長が解説する。
今回紹介する18人には全勝も全敗もいない。不合格が目立つ子もいるが、希学園首都圏の昨年の塾生215人のうち「全落ち」は1人だけだという。前受け校や安全校で合格を確保しつつ、不合格を受け止めながら、きちんとチャレンジすることで期待値を最大化できるのだ。
実際、偏差値が低い学校に不合格となるも、難関校でリベンジ合格を果たすという逆転現象も多い。次ページでは「前受け校の不合格を経て御三家に合格」「同じ学校に2回目の挑戦で合格」といった例も紹介している。
最後まで諦めないことも重要だ。6年生の夏まで「ガチ」で野球に打ち込んで最難関校に合格した子のケースは、習い事との両立に悩む家庭に参考になるはずだ。
掲載データの見方を説明しておこう。希学園首都圏では偏差値別に最上位のS0からS9まで10段階のクラスを設定している。偏差値は希学園(希公開)、SAPIX(サピ)共に母集団のレベルが高い分、数字が低く出やすいのが特徴だ。それを前提に他の塾に通っている家庭も参考にしてほしい。
前編では偏差値帯が中位~上位の9人の併願戦略を紹介。早速、山﨑信之亮・希学園首都圏学園長に解説してもらおう。
次ページでは「持ち偏差値」「全受験校(9人合計70校)の合否」を赤裸々に公開。併願戦略の組み立て方や、試験直前や本番中のリアルも解説する。